第一章

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(まあ、先生のことだから。自分で調薬した薬で生き延びそうだけど)  だが、薬草から摂取できるものと食べ物から摂取できるものは異なる。購入した食べ物を両手で抱えながら、エルランドの研究室へと戻った。 「先生。買ってきましたよ」  なんとかテーブルの上の大きなゴミはなくなっていた。ファンヌは研究室をざっと見回して、食べ物を置けるような場所を探す。なぜか本棚が空いていたので、仕方なくそこの一つに食べ物を置いた。  それから急いでゴミを片付けテーブルを拭き上げ、人が使える状態にする。ソファには少しエルランドの着替えが散乱しているようだが、エルランド自身が座る分には問題はないだろう。 「先生、お茶、淹れますね」 「ああ。頼む。そこにある茶葉と薬草は適当に使っていいから」  特にこの東側の研究室には、各部屋に水道が備え付けられている。というのも、彼らの『研究』に『水』は欠かせないものだからだ。
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