第一章

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「でしたら、私もマルクス先生の元にお願いに行った方がいいでしょうか」 「あいつの『調薬』の研究は独特だからな。君の『調茶』と合うかどうか難しいだろう」 「ですよね。私の『調茶』の技術も、エルランド先生がいたから出来上がったようなものですしね」  そこでエルランドはゴクリと喉を鳴らした。 「だったら、ファンヌ……。オレと一緒に来ないか?」  どこか彼の語尾が震えているようにも聞こえたし、唇も少しだけ震えているようにも見えた。 「え? 一緒にってどこにですか?」 「オレは母国のベロテニア王国に戻る予定だ」 「先生ってベロテニアの出身だったんですか?」  ファンヌの目がゆっくりと大きく開かれる。口角も次第に上がり、顔中に満面の笑みを浮かべている。これはファンヌが喜んでいる表情だ。 「ベロテニアって、薬草や茶葉の生育に力を入れている聖地じゃないですか。さらに、噂によれば、あの幻の獣人の血を引く者たちもいるとか。そのベロテニアですか?」 「ああ。よく知っているな。そのベロテニアだ」  ファンヌは両手を組み、うっとりとし始めた。
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