第二章

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「だったら、側妃として娶れ。正妃はファンヌだ。あれ以上、王妃に相応しい女性はいない。……、お前たち。今すぐ医務室へ行き、オグレン侯爵を呼んでこい。クラウス、お前はしばらくこの部屋で謹慎していろ。今回の婚約解消の件が解決するまで、この部屋から出ることは許さない」  ドスンドスンと歩く国王は、見るからに怒っていた。 「陛下、失礼します」  玉座に落ち着いた国王の前に、膝をついた臣下がいた。彼は外遊に同行した者のうちの一人であり、国王も信頼を寄せている臣下の一人でもある。 「オグレン侯爵は、王宮医療魔術師を辞しておりました」 「息子もいるだろう。見習いだ」 「息子も同様に」 「夫人はどうした。あれは調薬師だったはず」 「夫人もです。オグレン侯爵一族は、この王都パドマから既に出ていったとのことです。恐らく、領地に戻ったのでは、とのこと」  国王は両手を握りしめ、ふるふると震えている。  王妃が、不安げにその様子を見ている。 「肝心のファンヌはどうした。領地に戻ったのであれば、連れ戻してこい」 「ファンヌ嬢は……」  臣下が言い淀んでいると、もう一つ、別の声があがった。 「陛下」
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