第二章

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『国家魔術師』の資格を持つ男が一人、小走りにやって来て膝をついた。 「報告いたします。パドマの高等教育学校にて、転移魔法を使用した形跡がありました」 「届け出はどうした」 「出ておりません。ですから、陛下に報告をと」 「届けが出ていないのに、転移魔法だと? 違法ではないのか? 転移先を突き止め、さっさとひっ捕らえろ」 「陛下。転移魔法を用いた者が、この国の者ではない場合、違法にはならないのです」  国王の唇は震えている。  外遊から戻ってきた途端、次から次へと判明する予想外の出来事。一番の予想外は、クラウスの勝手な婚約解消だったのだが、それが全ての原因になっているようにも思えてきた。 「転移魔法を用いたのは、高等学校の教授を務めていたエルランド・キュロ。転移先はベロテニア王国」 「ベロテニアだと?」  ベロテニアは、このリヴァス王国から馬車を用いて三十日かかる距離だ。 「キュロ教授はベロテニアの出身で、国籍もベロテニアにあります。ですから、違法ではありません」
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