第二章

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 ファンヌの悲そう感漂う呟きを背に受けたエルランドは、ショーンと共に部屋を出ていった。その後すぐに、別の女性が二人現れた。一人は、四十くらいの女性で、もう一人はファンヌより少し年上に見える女性だ。名前はそれぞれカーラ、サシャと名乗った。コルセットのいらないドレスであればファンヌも一人で着替えることはできるのだが、彼女たちが手伝いそうにしていたので、お任せすることにした。 「ファンヌ様。お肌がきめ細やかでうらやましいですわ」  サシャは、そばかすが特徴的だが、彼女本人はそれを悩んでいるようだ。 「髪の毛も、さらっとしていて、まとめるのが難しいですね。少し、香油を使わせていただきます」  髪を結い上げてくれたのがカーラ。彼女は、侍女頭という立場にある女性だった。ただ、最近、年のせいか肩こりも酷く、それによって引き起こされる頭痛に悩まされているようだ。 「どうか、坊ちゃまのことを、末永くお願いしますね」  カーラにそう言われても、ファンヌには何のことやらさっぱりわからない。わかったことは、この二人がそれぞれ身体に悩みがあることくらいだ。
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