第二章

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 エルランドとお茶の時間を楽しんだファンヌは、彼に屋敷の中をざっと案内してもらい、それから使用人も紹介してもらった。  その後、屋敷を出て他の場所へと向かうのだが、どうやらその先にエルランドの家族が住んでいるらしい。  だが、その先が近づくにつれ、ファンヌの顔は曇り始める。 「先生」  半歩前を歩くエルランドを呼んだ。 「なんだ」  彼は歩調を緩め、ファンヌの隣に並ぶ。 「この先に見えるのは、王宮なのですが」  Lの字の建物の外壁はキャラメル色。東側には尖塔が建っている。どうやら礼拝堂になっているらしい。またLの角の部分は物見の塔となっており、他よりも一際高く黒い屋根が目立っていた。 「ああ。両親はそこにいる」 「え」  ファンヌは思わず立ち止まってしまった。だからエルランドも「どうした?」と立ち止まる。 「先生……。質問です」  ファンヌは右手を胸の高さまで上げた。質問があるときは手をあげましょう、という学校の教えが身体に沁みついているためだ。 「なんだ?」 「先生のご両親は、一体、何をされている方なのでしょうか」 「そうだな……。この国の代表という表現がしっくりくるだろうか」
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