第二章

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 王宮にいるこの国の代表。即ち。 「もしかして、ベロテニア王国の国王とか、そんなオチではないですよね……」 「さすがファンヌだな。オレの父親はそう呼ばれている。ほら、皆が待っているからさっさと行くぞ」  エルランドはファンヌの右手首を掴むと、彼女を引きずるようにして歩き出した。ファンヌは驚いて足元がおぼつかない。  それでもなんとか王宮の中に入り、いつの間にか応接室にまで案内されていた。ファンヌにはここまでどうやってきたのかの記憶が無い。気が付いたら、ここにいた。そして目の前には、エルランドの両親と思われるベロテニア王国の国王と王妃、その脇に角度を変えて王太子と第二王子が座っている。 「ご無沙汰しております、父上、母上」  あのエルランドの口調とは思えない程、穏やかな声。ファンヌはぎょっとしてエルランドに顔を向けるが、その表情はいつもの彼だった。 「ああ、お帰り。エルランド。後でオスモのところにも顔を出してやれ。お前が戻ってくると話をしたら、喜んでいたぞ」 「はい……。早速ですが、彼女を紹介しても?」  エルランドの言葉に、そこにいる全員が身を乗り出してきたように見えた。
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