第二章

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「彼女は、ファンヌ・オグレン。私の共同研究者兼教え子です」  エルランドの言葉に合わせて、ファンヌも深く頭を下げた。 「それだけ、か?」  目の前の国王が驚いたように、目を丸くしていた。やはりエルランドと親子ということがよくわかる。丸くした目はエルランドと同じ碧眼であり、後ろに撫でつけた髪は黒い。ところどころ白いものが混じっているようにも見えるが、それがいい意味でのアクセントになっている。 「はい……」 「エル……。あなた、きちんと彼女には伝えたのかしら?」  透き通るような凛とした声の主は、王妃だ。茶色の髪はすっきりと結い上げられ、アイスグリーンの瞳はじっとエルランドを見つめている。だが、肝心のエルランドはその視線から逃れようと、必死に視線を逸らしていた。  そのとき。突然、扉が開け放たれ、王妃と同じ髪と目の色をした少女が姿を現した。 「遅くなって、申し訳ございません。エルお兄さまが(つがい)を連れて戻ってきたって本当?」 「エリッサ。大事な話の途中だ。まだ紹介も終わっていない。黙ってランドルフの隣に座りなさい」
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