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エルランドの二人の兄は、王太子である第一王子がローランドで二十九歳、第二王子がランドルフで二十六歳と紹介された。どちらも既婚者であるとのこと。今はここにいないが、後で妃たちも紹介してもらえるらしい。
「あれ? 先生っておいくつですか?」
二人の兄の年齢を聞いて、ファンヌははたと思った。エルランドのことは三十近いと思っていたからだ。
「二十三だ」
「えっ……。老け顔……」
「何か、言ったか?」
「いえ。何でもありません」
そんなファンヌとエルランドのやり取りを国王と王妃、それから王子がにこやかに見つめている。
「エル兄さまがそのような顔をされたのを初めて見ましたわ。ファンヌさんが、エル兄さまの運命の番というのは、本当なのですね」
「エリッサ」
鋭い声が飛んだ。声の主は王妃だ。
「あ、先生。また、お茶を零していますよ」
エルランドも驚いたのだろう。ビクリと身体を震わせた瞬間、手にしていたカップからお茶を零してしまったようだ。カップを持つ手が紅茶で濡れている。慌ててファンヌがハンカチを取り出し、エルランドの手を拭いた。
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