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「ところで、先ほどから『番』とか『運命の番』とか。聞き慣れない言葉があるのですが。どのような意味でしょうか?」
ファンヌが尋ねると、またエルランドの身体がピクっと震えた。
「もしかして、エル兄さま。ファンヌさんにお伝えしていないの? だから先ほど、私はお母さまに怒られたの?」
シンとした空気が漂う。ファンヌは紅茶を拭いたハンカチを丁寧に折りたたむと、またそれを仕舞った。だが、その間、誰も言葉を発しない。ファンヌの疑問に答えてくれそうな人を探すために、この場にいる人物の顔を確認すると、エリッサと目が合った。
「あの、エリッサ様。お尋ねしてもよろしいでしょうか」
「何かしら?」
「『番』とか『運命の番』とか。私には聞き慣れない言葉ですので、意味を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
この場にいる全員の視線が、エリッサに集まった。ファンヌは教えて欲しいという期待を込めて彼女を見つめているのだが、どうやら他の人物は「黙っていろ」と念じているようにも見えた。
「ファンヌ嬢。私の方から説明しても良いだろうか」
「はい……」
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