第二章

21/31
前へ
/311ページ
次へ
 まさか国王から教えてもらえるとは思ってもいなかった。ファンヌとしては、わからないことを教えてくれるのであれば、誰でもいいというのが正直な思いである。 「本来であれば、エルランドの方からきちんと伝えるべきなのだが。誰に似たのかどうもこういった話には奥手でな」 「あなたではなくて?」  と、王妃の声が聞こえたような気がした。 「ん、んっ。とにかく、このベロテニア王国には、まだ獣人の血を継いでいる者たちが多く生活していることは、ご存知だろうか」 「はい。ですが、そちらの血はほとんど薄れているというお話は、先生から教えていただきました」  先ほどからファンヌがエルランドのことを「先生」と呼ぶたびに、視線がエルランドに集まることに、ファンヌは気づいていた。だが、彼のことを他にどう呼んだらいいかがわからない。 「そうだな。獣人の血はほぼほぼ薄れている。だが、王族だけは違っていて。まだその血が他よりも濃く受け継がれている」  ということは、ここにいる者たちも獣人の血を色濃く受け継いでいる者たちと解釈していいのだろうか。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1587人が本棚に入れています
本棚に追加