第二章

24/31
前へ
/311ページ
次へ
 エルランドの上の兄であるローランドも弟のしでかしたことに驚きを隠せない様子。 「もしかして、私……。こちらに来ない方が良かったのでしょうか……」  あのリヴァス王国で『調茶』の『研究』する場所を失い、また、少しの間リヴァス王国を離れるのもいいという両親の言葉によって、エルランドを追いかけるようにしてベロテニア王国へとやって来たのだが。自身の考えが浅はかであったことに気付いた。だが、両親も反対しなかったし、誰も止めはしなかった。 「そんなことはないわ。私、ファンヌさんとお会いできてとても嬉しいもの。これから、仲良くしてちょうだいね」  エリッサが立ち上がり、ファンヌの方につかつかと寄ってくると、また両手を取ってぶんぶんと振り回した。 「ファンヌ嬢は、リヴァス王国で調茶の研究をしていたのだろう? ここは薬草や茶葉が豊富だ。遠慮せずにその『研究』に励めばいい」  そう声をかけてくれたのは、王太子であるローランドだ。兄弟なだけあって、エルランドとよく似ている風貌。違いといえば、エルランドをもっと穏やかにしたような笑顔と、眼鏡をかけていないことくらいだろうか。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加