第二章

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「どうせ、エルがそれを口実にして連れてきたんだろう? だったら、本来の目的を遠慮なく果たすといい」  第二王子であるランドルフは、どちらかと言えば落ち着いた雰囲気を纏っている。  それよりも、ファンヌの情報が漏れていることも気になった。 「ファンヌさん。そんなに驚かないで。エル兄さまは、ファンヌさんが番であることに八年前から気付いていらしたの。それからずっとファンヌさんのことを狙っていたようなんだけれど」  エリッサが喋れば喋るほど、隣のエルランドの身体が縮こまっていくように見えた。 「ほら。エル兄さまって、お勉強はできるけれど、人との付き合い方がわからないというか。特に女性に対しては疎いというか」  そこでランドルフの声が飛んできた。 「エリッサ。覚えておきなさい。そういうのを『ぽんこつ』って言うのだよ」 「ありがとう、ルフィお兄さま」  エリッサは微笑んで、二番目の兄の顔を見つめた。 「とにかく、私たちはエル兄さまがそういった相手と出会えたことを、八年前から知っていたのね。だけど、エル兄さまが『ぽんこつ』だったみたいで。なかなか相手の方にそれを伝えることができなかったみたいで」
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