第二章

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 この場合、エリッサが口にした『相手の方』にファンヌが該当する。  八年前といえば、ファンヌが学校に入学した年だ。その頃はまだ、ファンヌはエルランドと出会っていないはずだ。だが、エルランドはあの学校にいたのだろうか。  ファンヌが十歳であれば、彼は十五歳。エルランドが飛び級で学校を卒業したことは聞いたことがあるが、一体彼はいつからあの学校に通っていたのだろう。 「それはっ……。まだオレもファンヌも子供だったからだ。ファンヌが成人したら伝えようと思っていた」  じっと小さくなって黙っていたエルランドが、とうとう反論を始めた。 「その成人を待っていたら、他にかっさらわれたと言って、嘆いていたのは誰だっけ?」  ランドルフがニヤニヤとした口調で尋ねると、またエルランドは耳を真っ赤にしながら顔を背ける。反論したが、すんなりと負けてしまったようだ。 「あ。そうです。私、リヴァス王国王太子殿下の婚約者だったのですが。それでもよろしいのでしょうか?」
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