第二章

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 二人の話を黙ってきいていたファンヌは、エルランドの腕を手でとんとんと叩いた。先ほどから口元を塞がれているため、少し息苦しいのだ。 「はぁ……。先生、苦しかったです」 「す、すまない……」  またエルランドは身体を小さくする。 「で、先生。私はこちらで先生のお手伝いをすればよろしいですか? よろしいですよね」  ファンヌにそこまで言われてしまったら、エルランドも拒否することができない。 「そ、そうだな……。頼む……」  もちろん彼はファンヌに弱い。それは彼女が彼の下で研究を始めた当初からである。  理由は明確である。それにファンヌも気付いた。  彼女がエルランドの『番』だからだ。彼女に嫌われたくないという気持ちが、彼をそうさせているのだろう。  だけど、ファンヌはエルランドのその気持ちを利用するつもりは無かった。今までと同じように接しているつもりだし、これからもそうするつもりであった。 「まぁ。仲が良いみたいで、嬉しいわ」  目の前の王妃が、ころころと陽だまりのように笑っていた。
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