第一章

2/27
前へ
/311ページ
次へ
(まさしく、全員集合っていう感じね……。もう、逃げられないわ……)  仕方なく、ファンヌは執務室へと足を向けた。  リヴァス王国の王都パドマ。ここは学術の都市パドマとも呼ばれている。  十歳になった子供たちは、身分に関係なくこのパドマにある初等教育学校で学問を学ぶことが許可されている。地方からも優秀な子が集まってくるくらいだ。場合によっては近隣諸国からも。  それには理由がある。というのも、その学校で成績が良ければ、十六歳になってから入学できる高等教育学校の『特待生』という枠で、より高度な学問を学ぶことができるからだ。この高等教育学校で最も力を入れているのは、学生自らが考え、調査し、結果を出す『研究』であった。  世界には様々な『魔術』があるため、主にその『魔術』について研究している者が多い。『魔術』とは自然の力を増大させる不思議な力のこと。それゆえ、研究者たちは『魔術』の魅力に取り付かれているのである。  もちろん、その様々な『魔術』は日常生活にも浸透している。簡単に火を起こしたり、水を湯に変えたりする等、生活に欠かせない魔術は『生活魔術』とさえ呼ばれている。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1578人が本棚に入れています
本棚に追加