第三章

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 籠に入れた薬草を愛でながら、ファンヌはエルランドに尋ねた。 「ああ。問題ない。調茶するのか? オレも飲みたい」 「はい。では食後に」  ファンヌが答えるとエルランドは嬉しそうに目を細める。その些細な仕草が、なぜかファンヌの心にズキンと突き刺さる。 「どうかしたのか?」 「いえ、お腹が空きました。先生、きちんとご飯を食べましょうね」  ファンヌは自身でもわからぬ気持ちを誤魔化すかのように、お腹を手で押さえ、空腹であることを強調する。 「そうだな。朝から歩いたから、腹が減ったな。今日は天気もいいし、庭で食べるか?」  庭でご飯。屋敷の庭には、ファンヌの見たことのない薬草も栽培されている。『研究』に用いる薬草であるなら、なおさらのことだ。 「はい、是非。薬草を見ながら朝食をいただきたいです」  エルランドが口元を手で押さえながら、くくっと笑っていた。恐らくファンヌの答えが、彼が思った通りのものであったのだろう。心を読まれたファンヌは悔しそうに頬を膨らませた。
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