第三章

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 食事が終わると、ファンヌは先ほど摘んだ薬草と、エルランドから分けてもらった紅茶の茶葉で調茶を始めた。本来であれば、(はかり)を用いて、各薬草や茶葉の量などを計測しながら調茶、調薬するのが一般的だ。だが、ファンヌは違う。目分量で量を見極めて、調茶していく。そしてそれが八割方成功していた。製法が必要とされる場合を想定して、その方法を記録するときがある。各茶葉や薬草の量については、目分量で手にしたものを秤で測定するという手順を用いていた。 「できました。できればショーンさんやカーラさんにも飲んでいただきたいです。基本的ですが、疲れをとって身体をすっきりとさせるお茶です」  エルランドはショーンとカーラを呼びつけ、お茶を飲むようにと指示を出す。少し恐縮していた二人だが、エルランドの「研究のためだ」という一言で納得してくれたようだ。残念ながらこのテーブルには他に椅子が無いため、ショーンとカーラは立ちながらお茶のカップを手にした。 「あら。飲みやすい」  目から鱗を落としたかのような表情で、カーラが口にした。 「本当ですね」  ショーンも目を細めながら飲んでいる。
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