第一章

3/27
前へ
/311ページ
次へ
『生活魔術』は誰でも使える簡単なものだ。それに比べ、身体の怪我を治したり痛みを取り除いたりする『魔術』は『医療魔術』と呼ばれ、専門の魔術師しか使うことができない高等魔術である。この能力を持つ魔術師のことを『医療魔術師』と呼ぶ。  高等教育学校での研究対象は、何も『魔術』だけではない。その『魔術』を道具に付与する『魔道具』に没頭する者もいるし、『薬草』や『茶葉』、『香の効能』を専門に研究している者もいる。それらの分野をある程度極めた者たちは、それぞれ『魔道具師』『調薬師』『調茶師』『調香師』と呼ばれていた。  そして先ほど、王太子であるクラウスと婚約を解消したファンヌも『国家調茶師』の資格を持っていた。しかもファンヌは一昨年、十六歳という若さでこの国家資格を取得したのである。  しかし『調茶』というものは、まだリヴァス王国では浸透していない新しい分野であり、『調薬』の技術を発展させたものと言われている。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1578人が本棚に入れています
本棚に追加