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「ああ、すまない。この時間、カーラたちは洗濯をしているから外に行っているんだ。オレが近くにいるからという理由で、そうしてもらっている」
カーラたちが他の仕事に専念できるように、この時間のファンヌの面倒はエルランドがみる。そういうことになっているのだろう。何しろ隣の部屋だ。テーブルを置いてなんとか誤魔化しているが、あの扉で繋がっている向こうの部屋にいるのだ。
むむっとファンヌは唇を結んだ。さすがに下着の案件はエルランドに相談できることでもない。
「私。カーラさんに用事があったので」
「オレじゃ駄目なのか?」
「う~ん。女性同士の相談ですので」
と言って誤魔化してみた。するとエルランドも何か察することがあったらしい。
「そうか」とだけ言い、すぐに話題を変える。
「ファンヌ。時間があるなら、オレの師を紹介したい」
「えっ。先生の先生ですか? お会いしたいです」
ファンヌの頭の中から、下着の件は飛んでいった。
ぱっと彼女の顔が輝いたからだろう。エルランドの顔も和らいだ。
(あっ……。また、だ……)
エルランドの表情が変わるたびに、ファンヌの気持ちがきゅんと跳ねてしまう。
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