第三章

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 ファンヌが案内されたのは王宮の中にある部屋ではなく、それに併設されている建物の方だった。 「ファンヌ。ここが王宮調薬師のいる部屋だ。周りからは『調薬室』と呼ばれている。薬が必要な者たちに、それぞれの症状に応じて薬を『調薬』するのが、オレたち王宮調薬師の仕事だ。残念ながら、まだこのベロテニアには『調茶』が広まっていない。言葉を聞いたことがある、といった具合だな」 「そうなのですね。でしたら、皆さんに『調茶』を知ってもらえるように、頑張ります」  ファンヌが左手で小さく拳を握ると、エルランドは銀ぶち眼鏡の下で目を細めた。 『調薬室』の扉を開けると、そこには長椅子がいくつか並んでいた。 「ここが待合室だな。薬が必要な者たちが、ここで順番を待っている。オレの師はあっちの奥の部屋にいる。まだ時間が早いから、誰も来てないな。今のうちに師を紹介する」  待合室の正面には受付があり、その奥では白いエプロンをつけた女性が忙しなく動いていた。その女性にエルランドが声をかけ、幾言か言葉を交わす。ついでにファンヌも紹介された。 「ここが『診断室』だ。その人に合った薬を出す為に症状などを聞く部屋になる」
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