第四章

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 クラウスが思いつく対策としてはそのあたりしかない。工場で働いている者たちは、金が欲しくて働いているのだと、クラウスは思っている。ある種、それも間違いではない。 「クラウス殿下。世の中、金で解決できない問題もあるのですよ」  作業者たちの中で一番人望があり、一番年配の男がエプロンを脱いだ。綺麗に畳むと、それをクラウスに突き付ける。 「今までお世話になりました。ファンヌ様によってこちらの工場が整備され、我々も仕事にありつけましたが。それはファンヌ様がいらっしゃったからです。ファンヌ様がいらっしゃらない今、何もこんな思いをしてまでここで働きたいとは思わない」 「お、お前たち。金が欲しいんだろ。そうだ、給料を倍にしてやる。お前たちがきちんと働きさえすればな」  鼻をすする者、大きく息を吐く者。クラウスの言葉を耳にした作業者たちの態度はさまざまだ。だが共通することは、ここにいる作業者の誰もが、クラウスの言葉に魅力を感じていない、ということだけ。  一人、また一人、立ち去っていく。 「お前たち。ここを辞めてどうするんだ。金、金が必要だろう?」
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