第四章

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「私たち王宮調薬師の仕事は、身体の不調を訴えている者にその不調を軽減させるような薬を提供することだ。場合によっては、その場で調薬する。そうなると、他の者を待たせる必要が出てくる。だから、人手は多い方が待つ人が少なくなって助かるというわけだ」  エルランドもオスモの後ろに待機している。 「はい。じゃ、最初の人、呼んでいいよ~」  オスモが受付の方に向かって声を張り上げた。ファンヌはどれくらいの人が来ているのだろうと思い、ぐるりと裏から周って受付の方へ行き、待合室の方を見た。 「うわ。けっこう人がいるんですね」  近くにいた女性も「そうなんですよ」と困ったように微笑んでいた。  ファンヌはまた診断室にこっそり戻る。そこではオスモが最初の体調不良者から話を聞いているところだった。 (私が先に、待合室であの人たちの話を聞いておけば、大先生も少しは楽になるのでは……)  今まではオスモ一人しかいなかったから、この場で話を聞いて、この場で必要な薬を渡していたのだろう。だが今は、エルランドもファンヌもいる。それぞれができることをやることで、もっと時間を短縮することができるのではないだろうか。
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