第四章

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 体調不良者が診断を終え、診断室を出ていくとオスモはエルランドと共に必要な薬を準備する。それを受付に渡し、受付から体調不良者に注意事項を添えて手渡すという流れになっているようだ。 「大先生」  次の体調不良者を呼ぶ前に、ファンヌはオスモに声をかけた。 「私が先に、待合室であの方たちのお話を聞いても良いでしょうか? 聞いた内容は帳面に書くので、それを先生に渡して、先生は大先生と一緒に薬を選定するという形を取った方が、短時間で効率よくたくさんの人に薬を渡せると思いませんか?」  ファンヌの提案にオスモは腕を組んで、何やら考え込む。この間も、体調の優れない者はオスモの薬を待っている。 「わかった。では、ファンヌ嬢。待合室で、体調不良者がどのように具合が悪いのかを聞いて、帳面に記録して欲しい」 「はい。それから、もう一つ、許可をいただきたいのですが」 「なんだ」 「場合によっては、私の判断で『調茶』してもよろしいでしょうか?」  ファンヌは、普段エルランドに接しているようにオスモにも同じような態度で接している。これがエルランドをはらはらさせている原因になっていることなど、ファンヌは知らない。
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