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「わかった。ファンヌ嬢に任せる。たまに、薬はいらないだろうというような人間もやってくるからな。そういった者をお茶で症状を軽減できるのであれば、私としては非常に助かる。薬草と茶葉はそこにある。もしかしたら、茶葉は足りないかもしれないが」
「ありがとうございます。あるもので、なんとかしてみます」
ファンヌが頭を下げたのを見て、エルランドの表情が和らいだ。
「よし。次の人呼んで」
「では、私は待合室の方で話を聞いてまいります」
だが、ファンヌが診断室を出ていく姿を見たエルランドの顔は曇っていた。
ファンヌは受付から順番を聞いて、体調不良者の話を聞くことにした。腕があがらない人、お腹が痛い人、手足が冷える人、発熱している人、よく眠れない人など、様々な症状の者たちがいた。その中でファンヌは手足が冷えている女性とよく眠れない男性のために、茶葉と薬草を合わせて『調茶』を行い、お茶を振舞った。
手足が冷えていたという者がお茶を飲み終えると、お腹の底から身体がぽかぽかしてきたと言う。ファンヌがオスモに診てもらうかを尋ねると、彼女は今飲んだお茶が欲しいと言い出した。
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