第四章

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 偉い人とは、恐らく教授を指しているのだろう。エルランドは二十歳までにいくつも論文を出して、それが認められたために教授になったとも聞いている。だが、あのオスモを師として幼いときから彼の元にいたのであれば、それはファンヌにとっても納得できるものであった。 「それが、こんなかわい子ちゃん連れて戻ってきたら。誰がどう見たって、番を見つけたって思うわな」  ガハハとリクハルドは笑ったが、途中、顔を引き攣らせた。 「もしかして、痛みますか?」 「ああ。古い傷なんだがな。季節の変わり目になると痛み出す。仕事に支障はないが、それでもどこか庇うところはあるみたいでな。それでいつも、痛み止めを貰いにきてるってわけだ」 「怪我をされた時期が近付いているとかってあったりしますか?」 「んあ? ああ、そうだな。そう言われると、怪我をしたのもこんな夏の終わりだったかもしれない」 「定期的に飲まれるのであれば、お茶を準備することもできますが」 「茶、だと?」  リクハルドは手で顎に触れながら、何やら考えている様子。少したってから、顎から手を放すと。 「それを頼む」 「はい」
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