エピローグ

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 「うわぁ……めちゃくちゃ綺麗だなぁ……」  シュラフにくるまって肉眼で見たり、時折望遠鏡で流星が現れないか眺める。  オリオン座流星群の1時間に流れる流星の数は、大体10個前後だ。  焚べた火はいつしか消え、ランタンの明かりも消しているので、辺りは完全に真っ暗闇だ。  「司」  「なに?」  すぐ隣りで同じくシュラフに包まるモーリーの声に隣を向く。  「……俺は今とても幸せだ。こうしてまた一緒に星を見ることが出来て」  「うん」  暗がりだけど、モーリーの笑顔が見える。  「また、一緒に見に来てくれる?」  俺が問いかけると、モーリーはシュラフから手を伸ばし、小指を出してきた。  「あぁ。約束だ」  差し出された小指に、自分の小指を絡める。  小指から伝わるモーリーの体温を感じて、胸の奥がじんわりと熱くなる。  「今流れた!モーリー見た?」  「見たよ。何か願い事した?」  「……あ、そっか。見ることに夢中になってて流れ星に願い事するってこと、すっかり忘れてた」  「司らしいな」   「そういうモーリーは何か願えた訳?」  俺の言葉にモーリーが声を上げて笑うものだから、俺は不服そうに問いかけた。  「俺は願ったよ」  「へぇ。何願ったの?」  「秘密。言ったら叶わなくなりそうだから」  「それじゃあ、今度流れてきたら俺も願い事しよっと」  その5分後、また新たな流星が現れ、一筋の線を残し消え去った。  ――神様。どうか、いつまでもモーリーの傍にいられますように。  どんな形でもいいから離れないように。ずっと。ずっと……  モーリーが願った願い事もオレと同じだといいなと思いながら、願った。  「願い事、出来た?」  「うん。今度はちゃんと願ったよ」  「そうか」  「ねぇ、モーリー」  「うん?」  今夜の星があまりにも澄んで綺麗だから、もう素直になって言ってしまおうかと夜空を眺めながら思った。それはずっと心に留めて、現世の俺がくよくよして、モーリーに今まではっきりとは言えなかった言葉だ。  「俺、モーリーが好きだ」  ――END――    
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