花街

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花街

「さぁて、お前、名を決めようか。」 「はい。」 雛の私にどんな名前が着くのだろうか、 「雛のお前には…そうだね、白鈴(パイリン)と名付けよう。」 「白鈴…婆ありがとうございます。」 「今からはお前は白鈴だ。さて、雛からお前は蝶となった、今晩からお前は客を取れ。いいね?」 「わかりました。」 「ほら、さっさと身支度してきな。」 「はい。」 今晩から私は白鈴となった。さて、ほかの雛を連れて身支度しようか。 「白鈴様、こちらのお召し物はどうでしょうか。」 「それじゃなくて、赤いのがいい。」 「かしこまりました。」 「白鈴様、帯はどれにしましょうか。」 「黒にして。」 「かしこまりました。」 私は、肌が白ければ髪も白い。逆に目は赤い。唇も燃えるような赤をしている。 だからこそ 「私の肌が映えるような色にして。客を捕まえろと婆がうるさくなるから。」 「かしこまりました。」 私より幾分若い雛達に、私は我儘を言う。それが私の仕事だから。 「白鈴様、こちらの簪はどうでしょう。」 「銀より金がいい。」 「かしこまりました。」 金も赤も黒も、全部私の肌が似合う色だ あとは、 「ねぇ。」 「はい、白鈴様。」 「私の、、、いや、僕の痣に色をつけてくれる?」 雛達はキョトンとした顔をした。 「蝶の形をした痣を黒に塗って。いい?わかった?」 少し強めに言ってしまったけど、自分を着飾るにはちょうどいいものだ。許せ雛よ。 「かしこまりました。」 雛達に命令した色が私を彩っていく。 「髪をゆって。今日にピッタリの一際、綺麗な髪型にして。」 「かしこまりました。」 「金の簪を差しますので痛かったら申してくださいませ。」 「わかった。」 どんどん綺麗になっていく、どんどん目を引く蝶になっていく 「白鈴様、どうでしょうか。」 「この桃色の石が着いた簪を差して。」 「かしこまりました。」 結われた髪に桃色の石が着いた簪が差される。 「いいね、可愛い。」 そう私が微笑むと、雛たちも微笑んでくれた。 「雛、僕、可愛い?」 そう聞くと 「ええ、可愛いですよ。他の蝶よりも数倍、数十倍可愛いです。」 そう答えてくれた。 「おしろい塗って、紅引いてくれる?」 「かしこまりました。こちらの色で宜しかったでしょうか。」 「いいよ。」 「かしこまりました。じっとしててくださいね。」 綺麗な顔をした僕を彩る雛。 雛、いや、蓮(リエン)。君だけは蝶にならないでくれ。 蝶になった僕が君を守るから。 「出来上がりました。」 「ありがとう。」 「お綺麗ですよ。」 「そうか、そうだね。」 「簪も着物も帯も何もかもお似合いです。」 蓮のその言葉がとても嬉しかった。 「蝶の痣も唇も強調されていい感じだね。目元の化粧も綺麗だ。雛達、ありがとう。」 「いえ、私たちは白鈴様を着飾っただけでございます。さぁ、もうお時間が迫っております。見世に出ましょう。」 「わかった。行くとしよう。」 「行ってらっしゃいませ、白鈴様。」 私の体を貪る男の相手をする。初めてはどんな男なのだろうか、知りたくないが、行かねばならない。 さて、出るとしよう、 「お初にお目にかかります。白鈴でございます。」
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