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だけどそんな事を知らないお母さんは毎日のようにミートボールを詰めてくれる。もういらないと何度も言ったのに、習慣化とは恐ろしいものですぐ忘れて入れられてしまうのだ。
智くんの隣にはあの可愛らしい女の子が陣取っている。そこに自分が割って入る勇気もなく、好きでもないミートボールをひたすらに口に運ぶ日々が続いた。
それ以降も似たようなことが何度かあった。いいなと思う人が見つかるたびに、その人の好きな漫画やアニメを見たり外見を磨いたりと私なりに気を引こうと頑張ってきた。
そんな努力の甲斐あって向こうが何となく私に気持ちを向けてくれたんじゃないか、そう感じた途端その人は私の前から去っていく。
中学の時に憧れていたバスケ部の大河くんも、高校の時に同じクラスだった貴志くんもそうだった。
告白して振られたわけでもないから、せめて彼女にしてくれなくても友達として近くにいさせてほしいのに、それすら拒否され相手にされなくなる。しかも理由も言わずに突然。
好きな人の1番になりたいのになれなくて、それでもせめて2番目……いや3番目でもいい、少しでも視界に入れてほしいのに、可能性を残してほしいのに、ある日突然私は彼らの視界から外されてしまう。
そうして、誰かから愛されたいという気持ちだけを抱えたまま、気がつけば二十歳を迎えていた。
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