02. 裏切り……じゃなくてこれが現実

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 そんな言葉を聞くたびに心がモヤモヤとしていた。私はコンタクトにする前から柴崎先生が格好良いってずっと思ってたのに。そりゃあ、自分が好きな人が良く言われるのは嬉しいけど、なんだか一気に遠い存在になってしまったみたいで、寂しさもある。  そして、柴崎先生はあれ以降全く眼鏡をかけなくなってしまった。メガネがいいなんて言ってたのにすっかりコンタクトが気に入ってしまったんだろうか。  私は正直眼鏡をかけていた時のほうが好きだった。最初に眼鏡外した顔を見た時は心臓が飛び上がるほど惹きつけられたんだけど……  髪型が変わったこともあって、一気にキラキラ感が増して近寄りにくくなってしまった。だけど周りの評価は真逆で、常に柴崎先生の周りには人が集まるようになり、今や谷岡先生と肩を並べるくらい人気が出ていると言っても過言ではないのだ。  そして、モヤモヤを抱えたまま翌週を迎えた。朝イチの講義が終わり、昼まで予定がないので課題でもやろうかな……そんな話をしながら同じクラスの友達と歩いていると、廊下で柴崎先生が正面から歩いてくるのが見えた。  すれ違う瞬間、「早見さん、ちょっといい?」そんな風に声をかけられてしまった。クラスの子たちは何で柴崎先生が私に声をかけるのか不思議そうにしつつも、「先行ってるね」とだけ言っていなくなってしまった。
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