02. 裏切り……じゃなくてこれが現実

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 だけど、この内容で私1人がわざわざ呼び出しを受けるのは少し不本意だった。  いつも私のレポートは細かく纏めすぎたと友達からも言われることが多く、今回のレポートも友達のレポートと比べるとそんなに大差はないと思っている。  ましてやせっかくの柴崎先生のお誘いを放棄してまで言われる事かと思うと納得がいかないのだ。 「申し訳ありません、次回からもう少し丁寧に纏めます。でも、周りの人たちのレポートと比べて個別に呼び出される程酷かったですか?」  普段はこんな風に反論することはないだけに谷岡先生も戸惑いの表情を浮かべていた。 「もちろん、このくらいで問題無しにしてる奴もいないことはない。だけどこれまでの早見はもっときっちりとレポート書いてきてたから質が落ちてるのが気になったんだ。 それに最近講義に身が入ってないんじゃないかと思って。……さっき柴崎と何話してたんだ?」  突然谷岡先生から柴崎先生の名前が出て驚いてしまい、返しがそっけなくなってしまう。 「講義は真面目に受けてます。それと柴崎先生は何の関係もないですよ。何でそんな事聞くんですか?」  私の素っ気ない返しに谷岡先生はやれやれと言わんばかりにため息をついた。 「最近早見が柴崎の講義に顔を出していると聞いたんだ。しかも講義外でも顔を合わせているとか。柴崎の専門は早見の学んでる内容とは関係ないと思うんだけど」
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