02. 裏切り……じゃなくてこれが現実

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「あの2人はゼミ生なんだけど、ゼミのメンバーで飲み会やるからそれに参加することを条件に手伝ってもらったんだ。今まで誘われても行ったことないし、最近は誘われもしてなかったんだけどね。これも早見さんのお陰かな」  私何もしてないけど……首を傾げていると柴崎先生は自分の前髪をちょいっと触った。 「人の印象って恐ろしいもので、眼鏡取って髪型変えただけで随分と周りの人たちの対応が変わったよ。人の見た目が変わる事による印象や態度の移ろい方が興味深いね。自分が実験台になるとは思わなかったけど」  これを実験だなんて言ってしまうのは柴崎先生らしいけど、でも…… 「私コンタクトは勧めましたけど、髪型まで変えるなんて思ってなくて、驚きました」 「うん、なんか眼鏡無くなったら前髪が目にかかるのが気になっちゃって。いっそのこと短くすることにしたんだ。なんか視界が明るくなったよ。どうかな、似合ってる?」  そういう理由で髪型まで変えたんだ。でも私は前のほうがいいなんて言えなくて、曖昧に頷くしかできなかった。 「そんなに悪くもないでしょ。それで、今日は早見さんに1つ提案があって。僕、個人的にもう少し早見さんと仲良くなりたいなと思っているんだ」  仲良くとは……? お付き合いするとかそういうこと? いやいや、そんなわけないよね。
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