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柴崎先生が私にそんな事言うわけないと分かっているけど、予想もしていない言葉に頭がついていかない。
「ええと、あの、仲良くというのは……」
「プライベートでもっと深い関係になれないかと思っているんだ。早見さんと一緒にいるのは楽しいし、講義の日以外でももっと一緒にいたいなと思ってね」
全く想像もしていない言葉だった。本当に? 聞き間違いとか、人間違いとか無いよね?
「ええと、そんな、私に柴崎先生は恐れ多いと言いますか、でもあの嫌とかじゃないんですけど……」
もう、それは夢のような話で。憧れの柴崎先生が私をそんなふうに見ていてくれているなんて。信じられなくて返す言葉がなかなか出てこなくて、しどろもどろになっていると頭に手が載せられた。
「返事は今すぐじゃなくていいよ。水曜にご飯行く約束してたと思うからそのときでもいいし、ゆっくり考えてよ。だけど、恐れ多くなんか無いから遠慮しないでね」
私を見つめる優しい笑顔や甘い香水の香りで胸がいっぱいになる。柴崎先生はそのまま部屋のドアを開けたので、私は促されるままに部屋を出ることとなった。
1人になってからも、さっきの言葉が頭の中で繰り返される。
今思い出しても信じられなさすぎる。柴崎先生と個人的な仲に……恋人になれるかもしれないの? そんな夢みたいなことがあっていいのだろうか。
想像できなさすぎて不安でいっぱいにもなるけど、もっと一緒にいたいしもっといろんなことを知りたいって思うことだけは確かなんだ。
……水曜日、何て答えようかな。
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