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そんな佳奈絵とお兄ちゃんが出会ったのはここ半年ほどのことで、私が2人を引き合わせたようなものだった。きっかけは、私が佳奈絵とご飯を食べに行く約束をしていた日のこと。
お兄ちゃんとは昼に会う約束をしていた。仕事で使うから実家から持ってきてほしいと頼まれた高校の卒業アルバムを渡して別れ、その後佳奈絵とご飯を食べるため待ち合わせ場所に行く予定だった。
だけどお兄ちゃんの仕事が長引いて会えるのが夜になってしまったのだ。
「奢ってやるから一緒に飯食っていい?」
奢りの言葉につられて気軽に受け入れてしまった。それに、佳奈絵は昔からお兄ちゃんのファンで、ぜひ会いたいとノリノリだったのだ。
この日会う予定だったのが佳奈絵だったから、お兄ちゃんに会わせることにも抵抗はなかった。同じクラスの友達に会わせたらきっと大騒ぎになっていただろう。
一応お兄ちゃんは芸能人だし、あんまり多くの人の目につかないほうがいいかなと気を使って、少し高級だけど個室のあるイタリアンレストランで佳奈絵と対面したお兄ちゃんは、終始上機嫌だった。
「日咲にこんな綺麗な友達がいるなんて知らなかった」
お酒が入ったお兄ちゃんは嬉しそうにそんな事を口にしていたくらいだ。まあ、隣にいるのが顔もスタイルも平凡な私ともなれば余計にそう思ってしまうのかもしれない。
お兄ちゃんとご飯食べるなんて久しぶりだったし、佳奈絵も楽しそうにしていたから満足していた。それだけだったはずなのに、それだけでは終わらなかったんだと知ったのはそれから1週間ほど経った頃のこと。
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