3人が本棚に入れています
本棚に追加
第4話 七色鼻の斗儺会(となかい)
「赤鼻のトナカイって、嫌な歌だと思わねえか?」
煌びやかなイルミネーションが点滅している繁華街。スーツ姿の男、條が訊いてきたので、俺は適当に答えた。赤鼻はてめえの方だ。アル中で組の役に立たねえから、今夜は鉄砲玉になってもらうのだ。俺たちの組は斗儺会と言って、そこそこ歴史のある組織だ。今はライバルの三多会に差をつけられちまったが。
今夜俺達は、三多の会長のタマを取る。クリスマスイブに命令を出すウチの会長は中々のサイコ野郎だ。三多にも女房子供が居るってのに。そう言う所だぜ、会長。
「赤鼻がピカピカ光って道を照らすって、どんな鼻なんだよ」
「知るか馬鹿。童謡に突っ込むな」
「あ」
動揺した條は慌てて走り出した。何と、予定より早く目標が出てきたのだ。條は拳銃を取り出して突進し、三多の会長の身体に0距離で弾を撃ち込んだ。全弾撃ち尽くして、そのまま棒立ちになっていた。奴には初めての殺しだ。無理もないが……馬鹿、早く戻れ。
しかし、條は俺の合図に気付かず、取り巻き連中に蜂の巣にされた。
連中が退散した後、俺は條の遺体に駆け寄った。アル中の赤っ鼻に、イルミネーションの明かりが反射している。
七色な死に化粧だった。
最初のコメントを投稿しよう!