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 杉山は、紺のスラックスにグレーの格子柄シャツをインしたシニア丸出しのファッションに身を包んでいた。  頭髪は貧弱で顔のシミも目立つ。  そんな普通の老人も参加できるのが、『The 言葉コンテスト』が国民的人気を獲得した理由の一つである。  スタッフの合図で杉山がアイマスクをはずした。 「いよいよ杉山がアイマスクをはずしました。光に目を慣れさせながらゆっくりと会場を確認します。  そうです、今大会の会場は……商店街です!」  事前の仕込みなどの不正ができないよう、会場は毎回変わり、選手には一切知らされず競技スタートの直前にこのように認識させられる。  商店街側も会場の打診を受けるのはスタートの1時間前である。 「兼田さん、この商店街という舞台は選手にとってはやりやすいんでしょうか」 「はい、選択肢が多いのでどんなお題でもわりとやりやすいですね」 「なるほど。そして杉山の様子ですが、調子良さそうですよね。このコンテストに命を懸けているんだと語っていました」 「どんなテーマでもかかってこいという気概を感じますね」 「そうですね。さあ、まもなく注目のお題発表です!杉山のお題は何なのでしょうかっ!?」  商店街名が書かれたアーチにぶら下げられた電光掲示板で、無数のお題の言葉が高速で回転をしている。  やがて回転が止まり、『久しぶり』という言葉が示された。 「『久しぶり』です!杉山へのお題は『久しぶり』に決まりましたぁっっ!!」
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