来世では、結ばれるかな。

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 緊張しているのか、少し手が汗ばむ。その汗ばんだ手でスマホを出し、メッセージアプリを開く。メッセージアプリのグループのトーク画面でのやりとりを見る。 「久しぶり。今月の二十四日、日本に帰るんだけど、みんな会える?申し訳ないけど、夜は用事があって、昼間しか会えないんだ」  今月の頭に送られてきた、突然の拓也からのメッセージだった。  拓也は十八歳、高校生の時にイギリスへ音楽留学に行き、そのまま所属していた楽団に残った。 私たちは同じ吹奏楽部でいつも一緒にいた、いわゆるイツメンだった。トロンボーンの私と、サックスの拓也と、フルートの美香と、チューバの健。部活以外の時でも、いつもこの四人で毎日を過ごしていた。 「ごめん、二十四日は仕事だ…」 「私も~、ごめん!」  その後に美香と健の返信があった。二十四日は平日で、仕事をしている美香と健は仕事で時間の都合が合わないのだろう。 「私はその日大丈夫だよ」  みんなに遅れて返信する。結婚をし、寿退社をして現在無職の私だけが予定が合った。それから、久しぶりに会おうということになり、変わっていないこのカフェで待ち合わせしている。
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