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ふと、スマホを持つ左手の薬指の指輪が目に入った。指を伸ばし、左手を眺める。
今となっては私は拓也とは別の人と婚約し、来年から彼の仕事について行くため、東京に行くのだ。この事は、拓也には言っていない。
気恥ずかしくて、薬指の指輪を抜いてみた。
「おまたせ」
突然上から懐かしい声がした。拓也の声だ。
「久しぶり」
拓也が微笑んでそう言った。
「ひ、久しぶり」
急いで握っていた指輪をポケットに突っ込む。
あの頃の面影は残しつつ、大人の雰囲気がある拓也だった。
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