来世では、結ばれるかな。

7/11
前へ
/11ページ
次へ
「十二年ぶりだね。元気にしてた?」  この沈黙を遮るように、私は拓也に問いかけた。 「おう。風邪も引かないし、元気だったよ」 「イギリスって日本と比べて寒いんじゃないの?」 「俺は北の方にいたから、寒かったよ。しかもずっと雨降ってるし」 「そっか。でも、楽しそうだね」 「うん。楽しいよ」  カフェオレに口を付ける。私たちをおいて遠くへ行った拓也が別人になったみたいで、少し寂しくなった。 「そういえば、俺は休み取ってきたから大丈夫だけど、平日のこの真昼間から時間、平気だったの?」 「うん。仕事辞めたから」 「なんかあったの?」  結婚したから、と言いかけそうになった。 「ちょうど転職したの」  笑って誤魔化した。 「そっか」  拓也も微笑んだ。なんとか切り抜けたようだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加