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「十二年ぶりだね。元気にしてた?」
この沈黙を遮るように、私は拓也に問いかけた。
「おう。風邪も引かないし、元気だったよ」
「イギリスって日本と比べて寒いんじゃないの?」
「俺は北の方にいたから、寒かったよ。しかもずっと雨降ってるし」
「そっか。でも、楽しそうだね」
「うん。楽しいよ」
カフェオレに口を付ける。私たちをおいて遠くへ行った拓也が別人になったみたいで、少し寂しくなった。
「そういえば、俺は休み取ってきたから大丈夫だけど、平日のこの真昼間から時間、平気だったの?」
「うん。仕事辞めたから」
「なんかあったの?」
結婚したから、と言いかけそうになった。
「ちょうど転職したの」
笑って誤魔化した。
「そっか」
拓也も微笑んだ。なんとか切り抜けたようだ。
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