3人が本棚に入れています
本棚に追加
「涙が出るほどおかしいの…」
「ごめんって。さすが百合だなって思って」
人差し指で涙を拭いながらも、拓也はまだ笑っていた。
「でも、このセリフは覚えてるよ。『来世でまた会おう。どんな最悪な出会いをしたって、また君を好きになる』って、最後のシーンで主人公が言ってた」
「ああ、俺も覚えてる。クライマックスだもんな。すごかったよ、あのシーン」
少しぬるくなったカフェオレに口をつける。少し胸が痛くなった。
ふと考える時がある。拓也が留学に行かなかったら、私たちは恋人になれたのかなって。あれからもずっと、一緒にいられたら、私たちの関係は進展してたのかなって考えてしまう。でも、その世界線はもう存在しない。
「どうしたの」
拓也が真っ直ぐ私を見つめる。
「拓也は、来世って信じる?」
「うーん」
拓也は顎に手を当て、少し考えていた。
「どうだろ」
拓也は微笑んだ。
「ごめん、突然変なこと聞いて」
「ううん。俺もそういう話好きだから」
最初のコメントを投稿しよう!