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「ロナウハイド様。・・・起きて下さい。」
オルケルタの可愛らしい声で目を覚ましたユーリウス。
「あ・・・俺、寝てた?。」「ええ、もう三日も眠ってらした
のですよ。」
「三日!!。ホントかよ・・・。」
あれは夢だったのか、ユーリウスは頭の中で夢と現実が混じって
いる感覚に戸惑う。
「・・・具合、大丈夫ですか?。お腹や頭は・・・?。」
「なんとも、ないけど。」
「そうなのですか。よかった。本当に・・・。」
オルケルタは何だか涙ぐんでいるようだ。それだけ心配かけてたの
かなと思うと心が苦しくなる。
「ごめん・・・心配かけた。でも大丈夫だ。」
ユーリウスはオルケルタの唇に軽くキスした。
「ホントに・・・?。なら何かあったら言ってくださいね。」
辺りを見回すと、見覚えのない場所だ。「ここって・・・何処?。」
「フンヴォンの実家ですよ。それも覚えていないのですか?。」
オルケルタが不思議そうな顔で訊ねる。
ユーリウスは寝台の上で今までのことを思い返す。
「いつの間に俺は夢の中へ・・・。だが、夢にしては
リアルすぎる。」
「ロナウハイド様。お洗濯しますので服を全部脱いで下さい。」
「全部なの?。」
「汗臭いですから。流石に汗臭いのはちょっと・・・。」
「そうだけど・・・。」
オルケルタは有無を言わさずユーリウスの服を全て脱がせた。
「ああ・・・あんまり乱暴にやると・・・俺のモンスターが目覚めて
しまう・・・うっ。」
「じゃ、目覚めたら寝かせて下さいね。」
オルケルタはあっけなくそう答えた。
「ちょっとだけ暴れさせて欲しいンだけど・・・ダメ?。」
「ロナウハイド様のモンスターは夜行性だったと思いますけど。」
オルケルタは顔を赤らめながら言う。「そこをなんとか。」
「昼間は・・・ダメです。」
そしてユーリウスが着ていた物を掻き集めると部屋を出て行った。
仕方がないので丸裸の状態で着替えを取り出した。
「・・・ったく、下着まで脱がすって、アリ・・・?。」
その時、あるものに目が釘付けになった。
「・・・こ・・・これ!!。」
麻袋の中に干しトマトが入ってある。保存食にと貰って来たものだ。
「まさか・・・。」ユーリウスは荷物の中をあさった。
ラディツヤ・ロンジの端末型通信機がある。「これも・・・。」
だが、当然の如くバッテリー切れだ。ソーラー式充電器もパネルに
大きくひびが入っており、使い物にならなくなっていた。
「夢・・・じゃなかったのか?。それにしても・・・。」
考えても仕方がない。まずは服を着た。
服を着終わる頃、フンヴォンと共に一人の女性がやって来た。
フンヴォンの母ミィ・ミャウだ。
「ロナウハイド様がお目覚めになられたとか・・・。」
「ああ、心配かけた。」「大丈夫なのか?。」
「ん、まあ、な。」
その時、ユーリウスの腹の虫が鳴った。「げっ・・・。」
ユーリウスはまずいと思いつつも言葉が出ない。ミィ・ミャウは
微笑みながら「何かお食事をお持ちしますね。」とその場を
去って行った。
女官の勧めで、ユーリウスは中庭で食事を摂ることになった。
「ジルカメス達も一緒に食おうぜ。」「そうですね。」
丁度洗濯を終えたオルケルタが皆に声を掛ける。
フンダイ宮殿の宮廷料理に舌鼓を打ちながらユーリウスは話し
始めた。
「俺・・・夢見てたようでさ。」
夢にしてはリアルすぎる、何か引っ掛かっているのもがあるのか。
相談がてらその話をした。最初は「夢の話かよ。」なんて
言われるのがオチだろう、そう思っていたが、皆の目が真面目に
ユーリウスの話一つ一つ聞いていた。
「俺も・・・同じ夢、見てた。」ジルカメスが驚いたように答える。
「えっ・・・。」
「私も・・・。」「俺もだ。」「私もです。」
「みんな一緒・・・なのか。」「けどよ、夢は夢、だよな。」
同じ夢を同時に見ていた事は偶然とは思えない。けど、偶然では
ないという事を証明するものは何もない。「・・・そうだな。」
レンゲで掬った白飯を見つめながらユーリウスは答える。白飯。
白・・・白い・・・。
ユーリウスは咄嗟にオルケルタの方を見た。
「オルケルタ!!。その髪に飾ってある花!!。」「えっ・・・。」
オルケルタは髪に飾ってあった花を取った。
「このお花・・・いつの間に。」
「これは・・・。」
「ええ、確か天空のお城でロナウハイド様がくれたものですよね。
でもあれは夢の中の出来事で・・・。ええと。」
オルケルタは難しい顔で花を見つめている。
「・・・夢じゃ、なかったの、か?。じゃあ俺達が見たものは
一体・・・?。」
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