ゆらゆら

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ゆらゆら

 あちらこちらにイルミネーション。否が応でもクリスマス気分は刺激される。二年前のクリスマスは元彼の聡と過ごして、ほっぺたに生クリームつけながらケーキ食べてたっけ。振られたのは去年の夏。未練はないけど、大切な誰かとクリスマスを一緒に過ごせたらいいなとは思っている。  私の部屋で昭恵ちゃんが作ってくれたクリームシチューを口元に運びながら目の前の昭恵ちゃんをまじまじと眺めてみる。聡に未練がないのは、直後に昭恵ちゃんが私のことをずっと好きだったと打ち明けてくれたからだ。だからといって、それ以降進展はないし、今も友達のままだ。いつかどこかで昭恵ちゃんの告白に対する答えを言わなければならないのに、もうズルズル一年半が過ぎている。 「眞子ちゃん、どうしたの? 口に合わなかった?」 「ううん。美味しいよ。昭恵ちゃんのご飯はいつも美味しいもの」 「褒めすぎだよ」  昭恵ちゃんは当たり前に側にいてくれる。料理が苦手な私に料理を教えてくれるのに、料理を教えるより食べてもらうほうが嬉しいなと私の部屋に押し掛けて腕を振るう。告白されて関係が変わったかというと、そんなことは全然なくて昔から変わらない幼馴染みのままだ。 「今年ももうすぐクリスマスだね」  できれば昭恵ちゃんと一緒に過ごしたい。そんな思惑を直球で口に出せずに匂わせ発言をしてみる。 「そうだね。私は眞子ちゃんと過ごしたいけど、眞子ちゃんに予定はあるの?」 「ないよ! 私も昭恵ちゃんと過ごしたいもん!」  もう大学生も後半なのに、私は周りから一番子供っぽいと言われる。ただ自然に生きているだけなのに、そのせいもあって、あざといと後ろ指を差される。元彼の聡も私の無邪気なところが好きと言いながら、別れるときは子供っぽいのが耐えられないと言ってきた。人の気持ちなんてあっさりと変わるんだなと失恋のショックから立ち直ったときも思った。昭恵ちゃんは、どうなのだろう? 昭恵ちゃんの隣にはずっといたいけど、恋人になるとしたら別れも想像してしまって、どうしても一步踏み出せない。 「じゃあお鍋やってケーキ食べようか? ここでいいよね? 腕を振るっちゃうよ」   スッと力こぶを見せるポーズを取る昭恵ちゃんに私はクスクス笑ってしまう。昭恵ちゃんといるとあっさり心地良い空気に流されてしまう。安心感ってやつだ。やっぱり昭恵ちゃんはスゴいな。
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