プロローグ

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プロローグ

 祖母が亡くなった後、このまま一人で暮らすのだと思っていた。両親はそれぞれ好きな人の家に行ったままだ。一人ぼっちの家に帰りたくない。そういう俺が大学の寮という砦に住み始めた時、早瀬に出会った。  一緒に暮らそうと言ってくれたのに、いつか居なくなると思い、拒んでいた。そして、怯えている自分に差し出された手を握ると、温かかった。勇気を出して砦から降りた場所は、俺にとって最大の居場所になった。 「悠人君。俺のことを好きになってくれないかな?」 「やだ」 「ゆうとくーん?一緒に暮らそう」 「いいよ……」    2人で暮らす。  ずっと欲しかったものが手に入った。  あの日のキミが叶えてくれた。
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