68人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
プロローグ
祖母が亡くなった後、このまま一人で暮らすのだと思っていた。両親はそれぞれ好きな人の家に行ったままだ。一人ぼっちの家に帰りたくない。そういう俺が大学の寮という砦に住み始めた時、早瀬に出会った。
一緒に暮らそうと言ってくれたのに、いつか居なくなると思い、拒んでいた。そして、怯えている自分に差し出された手を握ると、温かかった。勇気を出して砦から降りた場所は、俺にとって最大の居場所になった。
「悠人君。俺のことを好きになってくれないかな?」
「やだ」
「ゆうとくーん?一緒に暮らそう」
「いいよ……」
2人で暮らす。
ずっと欲しかったものが手に入った。
あの日のキミが叶えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!