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sideりりまる レスになった理由
帰宅して、寝る為の準備をする。
さっきは、凄く楽しかった。
リビングに行くと優ちゃんは変わらず床に落ちていた。
「風邪引くよ。優ちゃん」
「うーーん」
「優ちゃん、パジャマ着替えて寝なきゃ駄目だよ」
「あれーー、桜餅は?」
「もう帰っちゃたよ」
「そうか、そうか。悪い事しちゃったな。謝らなきゃな」
「そうだね……」
優ちゃんは、私を抱き締めてくれる。
「まだ、子供諦めたくないな。でも、凛々子が辛いなら。それは違うよな。駄目だよな」
「ごめんね。私……したくないとかそういうのじゃなくて」
「わかってる。無理させたくないから……」
「ちゃんと考えるから。レスも解消するように努力するから……」
「いいって、いいって。気にしなくて……。体の感覚が変わってきたんだろ?更年期に差し掛かったからかなって言ってただろ」
「優ちゃん。朝も起きれなくてごめんね」
「気にするなって、大丈夫だから。じゃあ、明日も早いから寝る。おやすみーー」
優ちゃんは、私の涙を見ないように立ち上がった。
いつからかな?
優ちゃんが、私の泣いてる姿を見なくなったのは……。
悪いのは、私だってわかってる。
【レス】になったのだって……。
だけど、優ちゃんは優しいままで。
「もっと傷つけてくれていいんだよ」
私は、立ち上がってキッチンに行く。
お皿を洗って、キッチンをリセットする。
私のモヤモヤの晴らすやり方だ。
美奈子に会って【セカンドパートナー】って話を聞いた。
桜木君みたいな人いたりするのかな?
本当に更年期みたいな症状が落ち着くなら、この苦い漢方はいらないって事になる。
【恋愛感情】も【肉体関係】もなくていいのなら作ってもいいのかな?
【セカンドパートナー】
キッチンのリセットが終わる頃には、セカンドパートナーについて前向きに考えている自分がいた。
一回行ってみて合わなかったら断ればいいかな。
スマホを取り出した。
メールを見ると桜木君からの【他人行儀】なメッセージが入っている。
「何て帰せばいいのかな……」
私に非があるのはわかっていた。
あの時、泣いたからだ。
泣いたのは、桜木君に対してじゃなかった。
あんな【好き】って言葉をこの先の私が受け止められないとわかっていたから……。
美奈子に誘われた会に参加すれば、巻き込まれていくのがわかる。
そしたら、私。
桜木君を傷つけると思った。
だから、わざと桜木君なんて呼んで。
なかった事にしようとした……。
傷つけちゃったんだよね。
ごめんね、桜木君。
歯を磨いてパジャマに着替えると寝室の扉を開ける。
レスになったあの日から、私達は別々のベッドに寝るようになった。
あれは、37歳の夏。
夏バテなのか、何なのか長引く体調不良に私は悩んでいた。
病院に行っても異常はなくて……。
ずっと、体はダルくて重くて。
自分の体じゃないみたいだった。
何もしなくていいならずっと寝ていたいぐらい毎日しんどくて……。
体調は、良くなったり悪くなったりを繰り返していた。
毎日、騙し騙し生活を続けてて。
少し元気になった頃に、優ちゃんから誘われたのだ。
本当は、ちょっと頑張れば出来た。
だけど、頑張りたくなくて……。
優しいキスをされて、ベッドに倒されて……。
今からって時に……。
「だから、出来ないって言ってるじゃない」
泣きながら叫んだ私を見て、優ちゃんは驚いた顔をしていた。
優ちゃんの為なら、少しぐらい頑張れた。
なのに、あの時の私は自分勝手で。
「ごめんな、凛々子。しんどいの気づいてあげられなくて」
優ちゃんの優しさが胸を締め付けた。
私は、謝れなかった。
それから暫くは腫れ物に触るみたいに優しく扱われて……。
謝らなきゃ、謝らなきゃって思っているうちにシングルベッドが2つ届いた。
気づけば、私と優ちゃんは離れ離れに眠るようになってしまった。
それから、優ちゃんは私が泣きそうになるとサッといなくなるようになって……。
体より心の方が遠くなった気がしてる。
普通に生活してるけど……。
お互いの本心を口にしてない。
このままだと、私達は【熟年離婚】にまっしぐらな気がする。
私達は、お互いの何もかもをわかったフリをしているから駄目なんだよね。
桜木君みたいに気持ちはちゃんと伝えなきゃ。
私は、右側のベッドにいる優ちゃんを見つめる。
「優ちゃん。レスを解消出来るようにするからね。体調もすぐに整えるから……待っててね」
私は、優ちゃんを見つめながら目を閉じた。
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