第7話『アイリの卒業と、ディアの求婚』

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……そして、アイリ高校卒業の日の前夜。 ディアは自室の机に座って目を閉じ、意識を集中させている。 ペンダントに加工された小さな赤い宝石を両手で握りしめて、強く念じる。 (……アイリ様) 心の中で愛する人の名を呼びながら、その手に魔力を集中させる。 ディアの両手から放出された魔力は、赤い宝石の中へと送り込まれ吸収されていく。 ディアが目を開けて両手を広げると、魔力で満ちた宝石は先ほどよりも輝きが増して見える。 魔界では婚約や結婚の際に、装飾品に魔力を込めて相手に贈る。 その時、ディアの部屋の扉がノックされる音が聞こえてきた。 ディアは急いでペンダントをケースに入れると、引き出しの中に隠した。 ゆっくりと席を立って歩き、扉を開けると、そこにいたのはパジャマ姿のアイリ。 「ねぇ、ディア……お願い。一緒に寝よう?」 アイリは上目遣いで恥ずかしそうにディアに『添い寝』を申し出る。 「高校生最後の思い出に……なんちゃって……」 ディアは少し驚いた顔をしたが、すぐに微笑んで頷く。 「はい。承知致しました」 ディアにとって、恋愛の封印解除は明日であり、少しのフライングではある。 しかしアイリは、ディアの恋愛の封印解除の日を知らない。 二人でベッドに入ると、アイリはディアに抱きついて密着する。 「あ、アイリ様……」 「ふふ。また魔力の結合が起きちゃうね」 封印解除の前日にディアの理性を破壊しにかかるアイリは、なんとドSなのだろうか。 アイリは幼く見えるが、母親に似てスタイルが良い。そんなに密着したら感触で伝わる。 だが真面目なディアは、なんとしてでも明日までは耐えなければならない。 「そのうち、魔力の結合で子供ができちゃったりして……きゃっ」 とんでもない発言をして、自分で恥ずかしがるアイリであった。 明日も、これからも毎日ずっと、ディアの温もりに包まれて眠りたい…… そんな願望が明日、本当に叶うとは、その時のアイリは夢にも思わなかった。
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