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そうと知ってしまえばディアは、いても立ってもいられない。
急に、今すぐアイリに会いたいという衝動に駆られた。
今まで我慢してきた感情が一気に爆発しそうな勢いだ。
魔王の部屋を出たディアは、今度は早足でアイリの部屋へと向かう。
何か用がある訳でもないが、アイリの部屋の前に辿り着くと、扉を数回ノックする。
しかし気持ちが急いでいるディアはアイリの返事すら待てずに、すぐに扉を開けてしまった。
仮にも女性の部屋なのに、真面目なディアにしては失態である。
すると部屋では、アイリが驚き慌てて何かを隠そうとしていた。
「わっ……ディア!?わっ、わっ!!」
バサバサッ!!
慌てたアイリの手元から、数冊の冊子が床に落ちた。
ディアが床の冊子に目を向けると、開いたページにはディアの写真が満載。
……これは、ディアファンクラブの会報だ。
まるで時が止まったかのように、その場の空気が凍りつく。
「…………あ、アイリ様……?」
「ち、ちがうの!えっと……これは、会報のチェックというか……真実と違う事とか、プライベートとか、勝手に書かれたら困るでしょ!?」
アイリはちゃっかり、ディアファンクラブ会員番号537番になっていた。
それはさておき、ディアはこの時、『封印』の真実をアイリに話すべきか迷った。
本当は、恋愛感情は封印されてはいないのだと。
だが、一度は心に誓った決意は最後まで貫くべきだと、ディアは自主的な封印の継続を改めて決意した。
今、恋に溺れてしまえば、心も魔法も乱れる。
魔法の教師として、アイリを守る者として、それは許されない。
アイリの卒業を見届けるまでは、恋を封印する。
アイリが高校を卒業するまでの、あと僅かな日々を耐え抜く。
その時こそが、自分に課した試練を乗り越えた時なのだと、自分に言い聞かせて。
しかし、封印の効果がないと知ってからのディアの自制の日々は、今まで以上に過酷なのは間違いない。
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