第7話『アイリの卒業と、ディアの求婚』

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そして次の日。ついに迎えた、魔界の学校『オラン学園』の卒業式。 季節は春。アイリは無事に、魔界の高校を卒業した。 とは言っても、アイリの見た目は入学時と変わらない。 混血とはいえ、数万年も生きる、寿命の長い悪魔の血筋。 人間と違って、見た目と実年齢は一致しない。 卒業式を終えた後、アイリは昇降口を出て、校庭の真ん中に立つ。 「わぁ……桜吹雪……」 栗色のボブヘアを春の風に靡かせながら、アイリは両手を広げて空を仰いだ。 濃紺のブレザー、胸元に赤いリボン、同色のスカート。 制服姿でここに立つのも、今日で最後だ。 広い校庭の真ん中ではあるが、風に乗った花びらが、ピンク色の雪となって降り注ぐ。 そんなアイリのすぐ隣で、優しい笑顔で彼女を見守るディア。 「アイリ様。ご卒業、おめでとうございます」 ディアの自主的な恋愛の封印が解ける今日、この日に。 「アイリ様がご卒業を迎えられた今日、お伝えしたい事があります」 今までの想い、これからの想い。全ての愛を伝えるために。 スーツの内ポケットに忍ばせた『婚約ペンダント』を捧げると共に。 「これからは、未来の伴侶としてお守りすることをお誓い致します」 愛されるという事が、こんなにも幸せなのだと気付かせて下さった貴方に。 たくさんの愛を下さった貴方に、一生をかけて愛をお返し致します。 生徒と教師の関係、そして恋愛の封印から卒業した、この日から。 『悪魔の王女と、魔獣の側近』の物語が始まる。
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