the Creator's end

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 僕はたぶん、昼下がりの書斎で居眠りしたのだろう。 「ヴェガ、ヴェガ」  夢の中で声がした。  うっすら目を開けると、目の前にはゆっくりと渦を巻く(もや)を背景に、アルタイルが立っていた。彼の肉声を聞いたのは、初めてだった。 「どうして君が居るんだ? 直接、会えるわけがないのに」  彼は肩をすくめて、「俺には分かりません」と言った。 「彼女に、『これからヴェガが来る』と聞いただけなので」 「誰のこと?」 「。答えを求めても無意味ですよ」  高く澄んだ女性の声がした。顔を向けると、そこにオリナスがいた。 「初めまして、ヴェガ。私たちの世界の神さま」  呆然とする僕に、オリナスは深々と頭を下げた。 「ご来臨(らいりん)(えい)を賜り、恐悦至極(きょうえつしごく)に存じます」 「堅苦しいのはやめてよ。苦手なんだ」  では失礼、と断って、少女は話し始めた。 「あなたは白夢幻世界(ピュアファンタジア)の創造主です。でも、実際に訪れることは不可能でした」 「あくまで僕の空想だから。実在しない世界だし」 「だから、ここでお会いすることとしました」  僕は耳を疑った。まるで彼女に誘わ( いざな )れたかのように聞こえたからだ。 「ここはあなたの住む世界ではなく、私たちの世界でもありません」  僕は主人公が白夢幻世界から追放される筋書きを作り上げ、それを実現するための力をオリナスに与えた。  そのおかげで登場人物と出会えるなんて、夢にも思わなかった。
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