Brand New World

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Brand New World

 僕は重大な決心をした。白夢幻世界シリーズを完結させて、その上で新シリーズとなる世界を創造する覚悟を決めた。高校二年から十年ちかく見続けていた空想から脱け出て別のものを創造出来るかどうか心もとなかったが、僕の執筆スタイルからすれば、古い世界を捨てずに新しい世界を見られるはずがなかった。  最終章・異相世界の悪魔編において、主人公のアルタイルは多元宇宙で最強の勇者に成長した。僕の好みで、物語はハッピーエンドを迎えた。 「もう彼らの冒険はありません。行くべきところも、倒すべき悪も存在しないのです」  最終巻のあとがきに、僕はそんな一文を書いた。このあと主人公たちは生まれた村で末永く平和に暮らしました、という意味を込めていた。平和な世界に争いと苦難の日々を持ち込んだ元凶、つまり創造主(クリエイター)である僕からの感謝を込めた、せめてもの贈り物だった。
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