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自分が育った環境とはかけ離れた生活…
施設の理事長や
支援員は皆、優しくて愛情をもって育ててくれた
施設の仲間とも
兄弟のように…時には喧嘩をし…時には泥だらけになりながら遊び…夢を語り…共に育った…
それでも…
それは…
美月だけではない…
施設で育った仲間達…皆が…
正体のわからない…
どうしても満たされない物を抱えて生きていた…
その満たされない物が…
そこにはあるように思えた…
村上が娘の話をするときの
穏やかな…
無償の愛を感じさせる眼差し…
それと同じものが
壇上の城ケ崎登と千代にも感じていた…
美月達、施設の子供達が満たされないからこそわかる…
決して…当たり前ではない家族という存在への渇求に気づいた瞬間でもあった…
パーティーの終盤になり
登が壇上に上がり招待客に謝辞を述べたのち…
『皆さま…
本日、提供させていただいたカフェスペースはご利用いただけましたでしょうか?
城ケ崎グループが新しい挑戦として
特に力を入れている『癒し』をテーマにしたプロジェクトの一部でございます
どうか…ご試飲していただき厳しいご意見をお聞かせください』と付け加えた
一斉に注目の視線が美月達のカフェスペースに注がれる
岩崎をはじめ
そこにいるカフェスペース担当の者全員に緊張が走る
登が付け加える…
『尚…
本日付で
城ケ崎カンパニーの専務であり…
わたくしどもの愚息、城ケ崎貴史を
このカフェ部門の担当責任者に任命しましたことをご報告申し上げます
机上の空論にならぬよう…
専務には
現場で汗をかいて勉強させようと思っております
どうぞ…
この若造に
ご指導、こ鞭撻のほどよろしくお願いいたします…』
と
いつの間にか壇上に上がっていた貴史と共に
登、千代夫婦が頭を下げた
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